第12小委員会:技術遺産




設立趣意

 

・主たる対象は、産業・土木遺産とする。
・産業・土木遺産の保存や利活用についての原理、方法論、科学技術に関する情報の収集、評価と普及・運動に努める。
・年に1,2回、活動の報告会をおこなう。
・国内や産業遺産(IH)のISCと協力する。

 

 

委員

 

主査:伊東 孝
委員:松浦利隆

 

 

年次活動

 

2022年度

TICCIH会長のマイルズ・オグリソープ氏の来日にあわせ、11月2日のTICCIH Dayに勉強会(詳細はインフォメーション誌12期-4号)、1月14日には産業遺産学会「高輪築堤研究会WG」・東京産業遺産学会共催のシンポジウム「文明開化と鉄の路-わが国最初の鉄道路線と高輪築堤問題を考える」をおこなった。ここでは、シンポジウムについて報告する。
産業遺産学会では、2020年12月に関係機関やJR東日本に保存の要望書を提出後、有志による「高輪築堤研究会WG」を立ち上げた。シンポジウムは、この成果発表でもある。主なテーマと報告者は次の通り。「覗き見た高輪築堤」(東海林次男)、「東アジア最初の鉄道としての高輪築堤-日本の意思で建設した高輪築堤の意義」(山田俊明)、「海上を走る鉄道、海上築堤を巡って-英国植民地の事例を基に」(松浦利隆)、「今に生きる『鉄の路』の遺産」(秋葉健・伊東孝)。
パネル・ディスカッションでは、開発予定の第5・6街区の保存と利活用について、JR東日本は、発掘現場の公開とともに広く意見を求めるべきだとした。

 

2021年度

開発工事にともなう継続した保存問題が2件(以下の1.2.)、あたらしい案件が1件(3.)。研究活動では、8月開催予定の
TICCIHモントリオールの国際大会が、コロナ禍で延期された。
1.震災復興橋梁常盤橋
2019年9月に提出した「常盤橋「架替」内容再検討要望書」などが功を奏し、2021年10月に開催された千代田区の常盤橋門跡保存活用計画策定委員会で、首都高速道路公団は、当初の常盤橋の解体工法を変更して、保存工法を検討中であることが報告された。
2.高輪築堤
2020年12月に明らかにされた高輪築堤(1300m)の発見をふまえ、日本イコモスは「日本最古の鉄道遺構「高輪築堤」の現地全面保存と高輪ゲートウェイ駅周辺の開発計画見直しの要望書」(2021年5月24日)を提出した。しかし第一期工事で発掘された800mのうち120m(橋台部の前後をふくむ80mと公園予定地の40m)を国史跡に指定するだけで、工事は進行中である。関連学協会と協力しながら、残された海上築堤500m部分の全面保存とよりよい利活用計画をめざすとともに、国際イコモスにHeritage Alertの発出を依頼すべく書面などの準備中である。
3.東洋ではじめての多摩川スピードウェイの観客席
2020年7月、国交省京浜河川事務所はコンクリート造の観客席(以下「観客席」)を取り壊して、11月から河川改修工事をおこなうことを公告した。19年の台風19号による多摩川氾濫を受けてのものであった。「多摩川スピードウェイの会」や産業遺産学会などと協力しながら、観客席の保存活動をおこなっている。観客席の一部保存案が出されている。

 

 

研究会

 

 

刊行物

 

 

提言・意見書・コメント等


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