ヴェニス憲章


 記念物保存に関する国際機関を設置しようという構想は、1961年、ユネスコ本部で開かれた第8回国際記念物委員会で生まれました。これを受けて、1964年、ヴェニスで開催された第2回歴史記念建造物関係建築家技術者国際会議では「ヴェニス憲章」が採択され、この憲章の精神を国際的に実現していく組織として、イコモスを設立することが決定されました。ユネスコの第13回総会では、この決定にもとづき、補助金の支出が決められ、イコモスが1965年に設立されました。このようにイコモスの基本精神を示すものとして「ヴェニス憲章」は、設立に先だって承認されています。

「ヴェニス憲章」にはおよそ5つの事項が述べられています。

1.歴史的記念物の概念
歴史的記念物は単体としてだけでなく、群としても考えられなければならないこと

2.保存の概念
記念物を保存するために、建物に新しい用途を見いだすことの重要性と、周囲との歴史的関連性を重視すべきこと

3.復原について
復原は推測がはじまるところでとめられなければならないこと、また記念物が経てきた歴史的変化を尊重した復原がなされなければならないこと

4.発掘について
発掘は専門家の手によって行われるべきであって、遺跡を改変してはならないこと

5.公表について
記念物に対する調査、発掘、復原等の活動は、記録され報告されなければならないこと


 ICOMOSはこの「憲章」を基本に据えつつ、新しく現れる課題に対して専門的な解決を与えながら活動を続けています。「ヴェニス憲章」の精神は、1972年の世界遺産条約に受け継がれ、日本も1992年にこの条約を批准しました。





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