日本イコモス第6小委員会


- 鞆の浦の問題に関する研究 -



歴史的港湾都市「鞆の浦」文化遺産保全に関わる研究報告書(第一次報告)について


 この、日本イコモス国内委員会『歴史的港湾都市「鞆の浦」文化遺産保全に関わる調査研究報告書(第1次報告)』は、広島県福山市鞆地区にある歴史的港湾都市「鞆の浦」に関し、文化遺産の保全に関わる関係の各専門分野から調査研究を行った成果を、第1次報告としてまとめたものである。
 「鞆の浦」の国際的な文化遺産としての高い価値への認識とその保全については、すでにイコモス(ICOMOS国際記念物遺跡会議)の国際的な会合の場で3回にわたり、日本政府・広島県・福山市に対して要望書や勧告が発せられており、日本イコモス国内委員会に対してもそれらの実現のため積極的な活動を行うよう、要請がなされている。すなわち、2004年愛媛県松山市で開催のCIAV(イコモス民家町並み国際専門分科委員会)勧告、2005年中国西安で開催の国際イコモス総会勧告、2006年広島県広島市で開催のイコモス法律行政財政国際専門分科委員会勧告である。
 2007年3月には、地元住民説明会等で広島県・福山市の作成する「鞆地区道路港湾整備事業 ~期待される整備効果~」なる冊子が配布され、その内容が文化遺産の価値や保全に関わる不正確な情報が多く含まれていることが判明した。これは、いわばこれまでのイコモスとしての見解と活動を否定する公式文書であり、これに対する正確な反論を行うことが必要と考えられる。このため、イコモス第6小委員会として、関連する多方面の専門家のご協力をいただき、「歴史的港湾都市鞆の浦文化遺産保全に関する調査研究部会」を構成して、それぞれの客観的学術的な立場からの調査研究に基づき、各分野の報告をとりまとめて、報告書を作成することとした。
 ここに、その第1次報告をとりまとめることができたので、関係各方面への配布等を行い、広く正確な理解を深めていただき、この文化遺産の宝庫とも言うべき歴史的港湾都市「鞆の浦」の保全に資することを、願うものである。

2007年8月

日本イコモス国内委員会 委員長 前野まさる(東京芸術大学名誉教授)
同 第6小委員会 主査 益田兼房(立命館大学教授)

日本イコモス国内委員会 第6小委員会(鞆ノ浦の問題に関する研究)
「歴史的港湾都市鞆の浦文化遺産保全に関する調査研究部会」




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